F組へようこそ‼

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教室の中には桜と春花以外に四人の生徒がいた。 遅れたことに恐縮しながら後ろの方に座る。すると春花も隣に席をとった。 「では、全員が揃ったな。」 教壇の男は、相変わらずの無表情でF組の生徒たちを見渡した。 ―――なーんだかなぁ。取っ付きにくそうな先生だな。顔はカッコイイんだけどな。てか、一体何歳なんだろう……。 桜が戸惑うのは、無理がなかった。担任(おそらく…)の顔は、その端正さと無表情さがあいまって、どうにも年齢の予測がつきにくい。 二十代と言われれば頷けるし、四十代と言われても何の疑問もなしに信じれるだろう。 「では、さっそくだが定番の自己紹介からいこうか。私の名前は、葛城だ。今日からこのクラスの担任をすることになった。……それじゃあ、黒板に向かって左側から順に自己紹介してくれ。」 かなり短い紹介を受けて、桜を含む六人は無言のまま担任である葛城を見た。 ――先生、せめて下の名前ぐらい教えてくださいよ…。そう思ったのは、桜だけではないはずだ。
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