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「…崎…桜。…神崎桜。」
ボンヤリしていた桜は名前を呼ばれて、慌てて顔を上げた。葛城先生が、こちらを見ながら眉をひそめている。
「え、…あ、もしかして次は私ですか?」
「………。」
返ってきたのは無言の肯定。
―――怖ーっ。
「すみません…。神崎桜と言います。霊冥学部、呪学専攻の中等部三年です。……よろしくお願いします。」
気まずくて、手短に自己紹介を終えるとさっさとイスに腰をおろす。
後半の“よろしく”が、単なる社交辞令である事は言うまでもない。
―――そもそも“よろしく”なんて、このクラスじゃ、逆立ちしたまま校庭一周ラーメン早食い競争と同じくらい難しそうだしね……アハハ。
F組のおかしな空気に毒されたのか、自分でも気付かぬうちに変な例えを使う桜であったが、とにもかくにも、次の生徒の紹介を見ようと気を取り直して後ろを振り返ると――――――――っ
―――なっ、…すんごい美人!!!
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