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完結まで読んだ方専用【茜の想い】(続きます)
茜が、天道(青池)と事務所見学をした後の話しです。
*
◇茜◇
「うーん……気持ちいい!」
私は、火照った身体を夜風で冷やしながら、大きく伸びをした。
夢のような時間を終えて家に帰ったはいいけれど、ソワソワと落ち着かない気持ちを紛らす術もなく、暗い夜道を歩いているのだ。
それにしても、未だに信じられない。
私みたいな人間を、あんなに認めてくれる人がいるなんて。
しかも、とても素敵な人……。
公私混同はいけないと思いつつも、惹かれてしまう私がいる。
これが、一目惚れというものなのか。
今まで、ホスト相手に楽しく騒いだことは何度もあるし、それなりに男性と付き合ったこともある。
でも、こんな気持ちを味わったことは一度もない。
もしかすると、これがいわゆる初恋なんだろうか。
そんなことを考えると、胸がグッと押し付けられたように苦しくなった。
「君が、立花茜さん?」
不意に聞こえたのは、優しげな、しかしどこか冷たい男性の声。
私は、恐る恐る声のする方へ振り向いた。
――続く。
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