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耳障りな軋んだ音をたてる扉を押し開けて、俺は奥に進む。
暗順応しかけた目を凝らすと、広がった視界の先にあるものを見つけた。
「刀?……これが、御剣神社の御神体なのか?」
俺が見つけたもの、それは御神体と思われる一振りの刀だった。
とはいっても、他にそれらしい物もなく、直感でそう感じただけだけど。
しかし同時に、その刀には一般にある御神体とは何か違う感覚を覚えた。
神々しいと言うよりは、むしろ禍々しさを覚える。
何かを封じるために何重にも貼られた札が、さらに禍々しさを強調していた。
(これに触れてはいけない)
直感的に、本能的に、頭でそう感じた。
けれども、体が勝手に動き、無意識の内に御神刀に触れようとしてしてしまう。
『取り憑かれた様に』
たまに聞くこの言葉を、俺は信じていなかった。
責任のがれの、単なる言い訳と思っていた。
でも、当事者となった今は分かる。
自分でもわからない、この気持ち悪さ。
片方の手は鞘を掴み、柄を掴んだ手がゆっくりと御神刀を引き抜く。
(止めろ!)
いくら頭で叫んでも、体は一切言うことを聞かない。
まるで、何か見えない糸に操られてるかのように。
俺の背中をぞくりと悪寒が奔る。
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