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死のうと思った。
理由は幾らでもある。
学校が嫌だとか、今住んでいる場所が嫌いだとか。述べればキリがない。
死ぬ理由なんて何でもいいんだ。
僕は昨日、市販の風邪薬を100錠用意した。
市販薬なんかで死ねないって言うかもしれないが、100錠飲めば臓器に何らかの支障をきたすだろう。
それだけでもいい。
僕は風邪薬の瓶を開けた。真っ白い糖衣錠がこの瓶だけで100錠は入っている。
薬を買う時はドキドキした。この薬は店頭に並んでいたのは箱だけで中身は無かった。世間ではODなんかする連中がいるから厳重に管理されているのである。薬はレジの横の戸棚の中に入っていた。
僕は上手く病気を装って風邪薬を入手した。
さてそろそろ飲むか。
僕はペットボトルのミネラルウオーターを冷蔵庫から出した。硬水はお腹を壊すので軟水が用意してある。
僕は途端に可笑しくなって笑ってしまった。
死のうとする直前迄、身体の事を気にするなんて・・・。
一頻り笑った後今度は悲しくなった。
涙が頬を伝って落ちる。
お父さん、お母さん、僕は死にます。産んでくれて、育ててくれて有難う。
二人の子供に生まれてきて幸運だと思います。
僕が幼稚園の時、友達をつくる事が出来なくて、心配させましたね。
そう言えば、初めて恋をしたのも幼稚園の時でした。
いや、恋ではなくて恋に憧れていたのでしょうね。
未だに恋人が出来た試しが有りません。
当然と言えば当然でしょうね。
僕は駄目な人間なんだから。
悲しまないでください。
駄目な人間だと誰かに言われた訳ではないのです。
ただ、仕合せが無いだけなんだ。
さてそろそろ薬を飲み始めるか。
僕は1錠、1錠数を数えながら飲み始めた。
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