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遠くに離れた街から怒声や悲鳴が聞こえる中、程よく離れた夜道に二つの人影があった。
「お兄ちゃん待って!」
一人は、少女の影だった。
体中は、炭だらけで高貴な衣服もボロボロだった。
そんな少女は、目の前を早足で歩く兄の後を必死に追いかけていた。
「お兄ちゃん!」
「うるさい!!」
一喝された妹は、小さくごめんなさいと謝ると再度兄の後を追いはじめた。
「くそっ!父上も母上もあいつのせいで死んだんだ!」
兄は、立ち止まるとすぐ側にあった幹を殴る。
殴った拳から血が滴り落ちるが気にする素振りも見せない。
「必ず復讐してやる!」
ふと、何かを思い出す。
「そうだ!あれだ!なんだ、簡単じゃないか」
その少年の目には、復讐に満ちた瞳をしていた。
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