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「勇者様、本当に行ってしまわれるのですか?」
しわしわの顔をこれでもかと近づけてくる村長に対して少年、シグレ・スタッシュフィートは金色のブレスレットをはめた右手で阻止する。
「だ・か・ら!勇者じゃないっていってんだろ?神使(シンシ)だっていってんだ!つか、顔近すぎな」
これが可愛らしい女の子だったらいいなっと、頭の隅で考えてみるものの目の前の現実がこれを許してくれない。
「神使とは神様の使いの?」
「あぁ、そうだよ!つか、これ初めにも説明したよな?ボケてんのか?」
この説明も数え切れないほどしてきたのにこのジジイは覚える気がないのか、またわざとにやってんのかと思ってしまう始末だ。
すると、村長は慌てた様子で言った。
「滅相もございません。勇者様の言葉を忘れるわけがございません」
「なるほど、このジジイは一回地獄に送ってやらなくちゃいけないみたいだな。つか、こいつがこの世界の元凶だったんじゃないのか?」
自分でも分かるくらい現在凄い顔をしているだろう。
すると、
「まあ、シグレ待つのにゃ。神使ともあろう者がそのような汚い言葉を口にするんじゃないのにゃ」
ぽふっと、右ほっぺたに柔らかい感触が当たる。
その声の主に村長が目を輝かせながらシグレの右肩を凝視する。
シグレの右肩には、ぬいぐるみを思わせる小さな四肢に、丸っこい小さな胴を覆う体毛は茶色。
体に対し大きくて長い尻尾がふりふりと左右に揺れている。
見るからに小動物のリスに近い、いやリスなんだけど本人曰く最強の四獣の内の一匹だとか。
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