プロローグ

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ふと、ガイルが亡くなる時に言われた言葉が甦る。 『ミイとずっと、一緒に居てやってくれ。』 これがガイルから最初で最後の頼みだった。 一人娘のミイの事を思っての言葉だったに違いない。 「悪いがそのお願いは引き受けられないな」 今は亡き人に呟く。 まさか、ガイルからそのお願いをされるとは思ってもいなかった。 「まぁ、ミイは村長が面倒を見てくれるらしいから心配するな」 墓に引っかかっている落ち葉を退けながらあの時の事を思い出す。 ガイルが目の前で死んだ時の事を。 あれは俺に力がなかったから、俺にもっと力があればミイにとって、たった一人の家族のガイルは死ぬことがなかった。 「これでは、全ての世界なんて救えないな」 空を見上げ自分に言い聞かすように呟いた。 透き通る青空にどこか切なく感じるものがあった。 そんな、青空を見上げていたら後ろの方で人の気配を感じた。
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