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よく耳を澄ましてみると少し離れた木の後ろで、物音が聞こえる。
「いたっ!」
叫び声と共にバキバキと木々が折れる音が聞こえる。
多分、躓いたに違いない。
「ミイ!何やってんだ?」
その正体が何か知っていたから動揺する事なく訊ねた。
「えっ、なんでわかったの?」
ひょいと木の後ろから顔を覗かせたのは赤毛の髪が見立つ少女だった。
この子がガイルの一人娘のミイ・イスキーベルト。
「さぁな。で、何をしていたんだ?」
「かくれんぼ!」
子供ならではの飛びっきりの笑顔を見せシグレに向かって走ってくる。
無邪気に笑う少女に癒されながらシグレもミイの側に近づき頭を乱暴に撫でる。
「さぁ、村へ帰るぞ。みんなが心配する」
「あー、もうやめてー!」
嫌がりつつも気持ち良さそうに目をつぶり猫のようにミイは大人しくなっていく。
「お兄ちゃん達、もう行っちゃうの?」
唐突にミイの口から出た言葉は先ほどの元気もなくどこか寂しそうだった。
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