壊れた幸せ

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「絶対男の子だよ」 ふっくらとしたお腹を愛おしそうに撫でる親友は私のハッキリと断言した事が余程おかしかったのか。 目を丸くしてふにゃりと笑う。その顔はもう母親の顔だった。 「この間まで、女の子と男の子だって言ってたのに」 「それはわたしの願望よ。直澪見ていたし、ね。でもなんとなく、男の子だと思う。二人とも」 親友の玲は結婚後三年目にして子どもを授かった。そしてこれは宮内の血筋なのか、お腹の中には二つの命が宿っている。 「それに二人とも女の子なら大変でしょ?旦那が。嫁にやらーんって」 妊娠六ヶ月。双子のせいか一般的に見る六ヶ月の妊婦さんよりお腹が大きい。玲が細いせいか余計にそう感じる。 「うふふ。そんなことないと思うけど」 「そんなことあるよ」 「パパはそう意地悪かな?ピヨちゃん」 玲はお腹にいる我が子をピヨちゃんと呼ぶ。ピヨちゃんとピーちゃんらしく、性別が分からない双子たちにはちょうどいい呼び方なんだとか。 「ピヨピヨ達が玲似の男の子ならジャニーズね。すごくかわいいんだろうな。目がくりくりで」 「普通でいいの、普通で」 玲はそう言っているが、二人の子どもなら美男美女間違いないだろう。ただ、二人ともあまり目立ちたがり屋ではないせいか、モデルとか芸能系の仕事は合わないらしい。
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