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「いやぁね、ピリピリしちゃって」
ミーティングルームを追い出された格好になった麻琴が言った。
「これから、新卒の子たちの入社式なのよ。挨拶もするみたいだから、緊張しているのかしら。課長なんか、あーんなに余裕そうなのにね」
四月一日は新入社員の本格的なデビューの日だ。だから、入社式に出席する魚住も青山もスーツ姿だった。
「青山さんはわが社の生え抜きじゃないの。三年前に転職してきたのよ。
前職はTOMITAのグループ会社でシステム開発のプロジェクトマネージャーをやっていたらしいわ。見てのとおり、バリバリの理系よ」
「世界のTOMITA」グループから、新進のオフィス用品のネット通販会社に転職したのだ。
だが、稍には麻琴の言葉はほとんど入ってきていなかった。
なぜなら、心の底から真剣に、古今東西の八百万の神仏のみなさまへお願いごとをするのに、必死だったからだ。
……今からでもいいです。遅くないです。
青山チームへの配属は、
「エイプリルフールのウソっぱちだよーん」
ということにしてください。
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