Prologue

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……これが、虫の知らせ、というものか。 八木(やぎ) (やや)はしみじみとそう思った。 インスタなんて、とりあえずアカウントを取っただけで、今もそのときもほとんど放置状態なのに変わりはない。 その夜、フォローしている知り合いたちがあげた「リア充」な写真を、たまたま何気に見て回っていたら、それはあった。 「@大阪」とタイトルがついた、会社の後輩が載せた写真があり……思わず「ん?」と、スマホに目を寄せていた。 ……いやいやいや。一切ぼやけることもなく、くっきりはっきり見えているんですけどね。 この六月で三十五歳になるが、老眼はまだまだ先だ(と、思いたい)。 そして、その誕生日には会社の同期との結婚式が控えている。大抵の女子が憧れるジューンブライドだ。 梅雨の真っ只中にもかかわらず、ガーデンウェディングにしたものだから、目下のところの心配は雨が降らないかどうかということだけ、だったはず。 にもかかわらず、そこには大阪出張中の婚約者と会社の後輩の…… ……「決定的な写真」があった。
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