再会

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「やっと君の声が聞けた」 殺れた実感はあったようで、なかった。 惨めにも急所目掛けて投げた苦無は壁に突き刺さっている。 気配を見破るといい、苦無を避けるといい、私の癪に触れるのが得意なようだ。 澄ました顔で平然とやってのけてくれる。 やはりこの男、一筋縄ではいかない。 「来なよ。遊んであげる」 窓から逃げるのかと思えば煽られるように手招きされ、足場の不安定な屋根に誘導される。 相手に合わせられているのが気に入らないが、私は追わなければならない。 例えそれが、罠だとしても。 「さあ、殺ろ? 」 観察したところ、暗器は特に見られなかった。 とすれば同業者ではないだろう。 ならばわざわざ屋根の上での戦闘など、刀一本の男にとっては辛いものではないのか。 どちらかと言えば、こういう仕事に慣れている私の方が有利な気もするが。 にしても、久しぶりに戦闘と言える戦闘ができる。 この状況で微笑み続けるこの男も大概だが、いつぶりかの感覚に高揚している私もそれは同じだろう。 だが仕事に私情を挟んではならぬときつく言い聞かされている。 仕事は確実に、ただそれだけ。 その掟が守れなかった暁には、結末は一つしか残されていない。 ──殺される 負ければ死に、逃走を図れば身内に殺される。 単純明快な事実であり、これが私の業だ。 まあ、仕事に失敗した者が生きて帰れるとは到底思えないが。
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