目を閉じて、100数えたら さようなら

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 私の答えに、今度は達彦の方が目を丸くして、少し間を置いてからくつくつと喉を鳴らして笑う。 「それは無いって。流石に俺アイツらにスマホ触らせないよ? 俺にだってプライバシーってもんがあるんだから」 「ええー? だって、そんな……そんなキャラじゃないじゃん。今更、私にお茶しようなんてさ」  そう。私達はお別れしたのだ。そして、達彦は未練ったらしく私を想ってるなんてキャラじゃないのだ。だから、絶対いたずらだと思ったのに。 「今更ってことないでしょ。1週間しか経ってないよ。それとも、なに? ミチはもうさっさと新しい男作っちゃったの?」 「そんなわけないでしょ」  即答した私に、達彦は少し傷付いたように、寂しげに笑った。 「とりあえずさ、立ち話もなんだしどっか入ろうよ」  付き合っていた頃と変わらないふうに笑って、達彦は視線をエスカレーターに向ける。エスカレーターを降りると、コーヒーショップがあるはずだ。気取り過ぎなくて程よい妥当なチョイスだ。  達彦に促されるままエスカレーターに乗る。以前と違うのは、手を繋いだりしないこと。もう彼氏彼女じゃないのだと示すように、達彦は私に触れようとはしなかった。
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