目を閉じて、100数えたら さようなら

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 クリームがぐるぐる盛られたフラッペをスプーンで掬う。私は混ぜてストローで飲むよりも、スプーンでクリームを掬って食べるのが好きだった。 「……で、どうしたの? お茶しようなんてさ」  全く達彦っぽくない。私はそう思う。 「どうかしなきゃミチと会っちゃダメなの?」 「ダメってことは無いけどさ」  私は達彦のことが嫌いなわけじゃ無い。だけど、こんなふうにお茶しようなんて言われたら、どうにも落ち着かない。だって……お別れしたんだし。 「なんかさ、俺、心配だから。ミチの事。だから……さ、早く彼氏作ってよ。そしたら、俺安心出来るじゃん」 「はぁ?」  何言ってんの? と漏れた声の可愛げのなさったら無い。どこのヤンキーですか? と言いたくなるほどに柄が悪そうな返事をしてしまった。 「心配だよ。ミチ、ちょっと怖がりじゃん。雷とか、実は怖いでしょ?」 「そんなことないよぉ。どこの幼稚園児さ」  本当は、怖い。正しくは雷と言うより、雷の時に時折発生する停電がだけど。子供の頃、夜1人で留守番をしている時に、雷で停電になった。誰もいない家で、何も見えなくて、親が帰ってくるのをただ震えながら待っていたのが完全なトラウマだった。しかも、親は親でエレベーターが動かないし、非常階段も点検の時に見逃したのか電気が着いていないしでなかなか帰ってこなかったのだ。
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