目を閉じて、100数えたら さようなら

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「ピーマン食べれないし」 「そこは心配される場所と違うから」  単なる趣味趣向の問題でしょ? ピーマン食べれなくても死なないよ? だいたい、元カノがピーマン食べれないとどこが心配になるって言うんだ。全く。 「ちょっと痩せたでしょ」 「ちょっとね。ほんのちょっとだよ。また直ぐに戻るって。私の食欲知ってるでしょ?」 「知ってるから余計に心配なんだよ。痩せたって事は、食ってないって事じゃん。ちゃんと食べてよ。で、持田とかさ、どうよ?」  唐突に振られた「どうよ?」に、げふっと口にしていたフラッペを飲み込み損ねて噎せた。 「どうよって何よ?」 「まんまだよ。持田、良い奴だよ? ミチの事可愛いって言ってたし」 「社交辞令でしょそれ。友達の彼女にイマイチだねって言う奴居ないから」 「居るよ。笠原とか立川の元カノの事、『あの子浮気しそう』とかザクザク言ってた」 「いや、それミナちゃんのことでしょ? だってあの子超怪しかったもん」  実際、立川くんはその彼女とは彼女の浮気が原因で別れている。彼女が言うには、浮気ではなくパパ活だったらしいけれど、そこは価値観の違い。立川くんが浮気だと思うのを責めることは出来ないだろう。傍から見たら、浮気のように見えたのは間違いないし、立川くんはそれを嫌だと思ったんだから。 「社交辞令じゃなく、言ってたよ」 「いやいやいや。あなたね……」  流石に元彼氏の欲目がすぎるから、それは。と窘めたが、「そんなことないと思うんだけどなぁ……」と達彦はなおも口を尖らせた。
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