奇跡

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奇跡

それは本当に…奇跡だった 私はあなたが好きで あなたは彼女が好きで 彼女もあなたが好きだと ずっとそう思ってた。 彼女に微笑むあなたを 彼女の隣からいつも見てた 「お前は強いから1人で生きていける」って 誰もがそう、私を言う でも、あなただけは 「1人で生きていける奴なんていない」 そう微笑み掛けてくれた 彼女の友達だから、そう言ってくれたと思ってた。 誰よりも綺麗で、誰よりも人気のある彼女 あなたも絶対、彼女を選ぶと思ってた 何度も何度も 諦めなくちゃって泣いてた 何度も何度も 忘れなくちゃって思ってた そんな私に奇跡が起きた。 それはきっと サヨナラ満塁ホームラン級の奇跡 偶然、一緒になった帰り道 「偶然だね」 って、大好きな笑顔が私を呼んだ。 他愛の無い話をして歩く道 長い影が2つ並んで、まるで恋人同士みたいだと…そんな風に思った。 切なさに…言葉が途切れる ふと漏らした溜息に 「ごめん」 ってあなたが呟いた。 「偶然なんて嘘なんだ」 言われた言葉に驚いて、見上げたあなたの顔が、夕日に反射して良く見えない。 「待ってたんだ」 あなたの言葉に息を呑む 「ずっと好きだったんだ」 信じられない言葉に、涙が溢れた。 絶対に無理だと思ってた。 手の届かない人だと思ってた。 諦めなくて良かった 忘れなくて良かった 今、あなたが私の心に 青い薔薇の花束を プレゼントしてくれた。 「私も大好き」 呟いた私の言葉は 重なる影の向こうへ消えた
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