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三
「ねぇ、見てよこれ」
僕は、昨晩驚かされた、パソコンのとあるホームページを葉山に見せた。
それは、真っ暗な背景の掲示板で、数十万人の発信者がいるものだった。その中に、このような事が書かれていた。
『生きる価値のない奴が、徐々に死んでいってる気がする』
『そういえば、私の近くのクズが昨日消えてた』
『神様でもいるんじゃね? 笑』
『俺の近くにも来てくれねぇかな、神様』
『神様は人殺ししないから、死神じゃない?』
『そうだね。じゃあ、早く来てくれねぇかな。死神様』
それを見て、葉山は目を丸くした。そして僕を見ると、素早く僕の手を取って言った。
「気付いてるんだ。僕らの行動は、やっぱり正解だったんだ。僕らにのみ許されたこの力の使い道はこれ以外に無い。いや、この力をここまで善用出来るのは、僕らしかいないんだよ」
葉山は嬉しそうに言った。僕も嬉しくて頷いた。
「これからも、ごみ捨てを続けよう」
僕らは、僕らの仕事のことを、ごみ捨てと言っていた。生きてる価値の無い人間を消すからである。
仲間を増やして組織を作ろうという僕の提案は、あっけなく反対された。理由は、人数が増えると価値観の差が大きくなり、公正な判断がくだせないからだ。僕は、僕の甘さを恨み、同時に葉山への尊敬が増した。
葉山となら、本当に世界を変えられる。僕の頭は、葉山への期待と、仕事のことで一杯だった。
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