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二
「いゃあ、助かりました。これで、この学校の事はバッチリです」
「ハハハッ、よかった。また何かあったら言ってくれ」
葉山が笑ってそう言うと、昼食をどうするか田部に聞いた。
昼食は、学食になった。
「ところで、この学校にいるっていう『神様』って誰なんですか?」
食堂のガラス戸の隣の丸いテーブルに学食を置いた田部が、僕らを見て聞いた。
「何なんだ? 神様?」
葉山は、不思議そうに田部に聞き返した。僕も、首をかしげた。
「あれっ、知らないんですか? 結構有名なんですよ」
と、オニオンスープを一口飲むと、田部は笑って続けた。
「生きる価値のない人間を殺してくれる人。通称『神様』ネットで、かなり有名ですよ」
「何だそれ、神様というより死神じゃないか」
「ええ。実際、死神と呼んでいる人もいます」
「そうなんだ。それで、本当にこの学校に?」
「はい。詳しくは言えませんが、確実な情報です」
「へぇ……それで、君は興味があるのかい?」
葉山がそう聞くと、田部は一つ頷き、唐揚げを一つ頬張ると続けた。
「葉山君達は、どう思いますか? 僕は、怖いです」
「そうだね、怖い。でも、その神様ってのは生きる価値のない人間しか殺さないんだろう? 悪さをしてなければ、きっと大丈夫だよ」
「……そうですね。考えすぎでしたね」
「そうだよ。僕らなら、きっと大丈夫さ」
僕もそう笑って田部の肩を軽く叩いた。
今日の全ての講義が終わると、僕らは門の前で別れた。
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