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焦燥
一
「実は、例の死神の件で、日本警察が秘密裏に動いてるらしいですよ」
葉山と三人で昼食を摂っている時、突然田部がそう言った。
「死神を捕まえる為に、かい?」
「恐らく。不自然な死を遂げている人々は、この辺りのとある地域に密集しているそうです。だからまぁ、死神が見つかるのも、時間の問題だと思いますよ」
田部はそこまで話すと、卵スープを飲んだ。僕は葉山を一瞥したが、葉山は普段と変わらずに続けた。
「そうなんだ。死神も、大したことないな」
「貴方もそう思われますか?」
「だってそうじゃないか。自分の居場所を示しながら殺してる様なものだからね」
「ですよね。さすが、成績最優秀生徒」
「よしてくれよ。君も変わらないじゃないか」
葉山は田部と笑った。僕も二人と共に笑った。田部の話に動揺した事を悟られない様に。
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