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「あっ、すみません。」 ゴシゴシと口の周りを拭きながら、彼は慌ててベッドに上がった。 「おはようございます。今日初めて水野さんを担当します、相沢と申します。」 私は笑顔で軽くお辞儀をして、 彼、水野 航の姿を初めてしっかりと捉えた。 「あ、はい、水野です、宜しくお願いします。」 カクッと首だけを垂れるように、彼は会釈をした。 一瞬、息をのんでしまった。 いや、ひるんだ、のかもしれない。 スラッとした細身で180㎝くらいありそうな身長に、 色白で、鼻筋の通った少し中性的な顔立ち。 ハーフなんじゃないかと思わせるような容姿だ。 なるほど、これは確かに。 主任達が騒ぐのも分かる。 “容姿端麗”という言葉がここまで当てはまる人には初めて出会ったかもしれない。 入院するまで熱が続いていたせいか、少しやつれた感じで、 それが主任も言う、幸薄い感じを醸し出しているのかもしれない。 手入れをあまりしていない、少しぼさっとしたツヤのない黒髪の短髪。 首元が緩んだ、シワだらけのTシャツ。 それでも、彼が持つ本来の美しさは際立っていた。
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