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彼の治療は、やっぱり明日から始まる事となった。 そのためCVカテーテルという、 点滴や採血をするための管を右の胸から直接静脈へ繋ぐ処置が行われた。 血液のガンの治療ならCVは必須と言えるだろう。 この処置も終わって、 明日からの治療スケジュールの説明をする時になっても、 あれから彼の笑顔は無かった。 無理もないよね… 初めての大きな病気に、初めての入院。 20代で若いし、仕事とか家族とかお金とか。 不安や心配事は計り知れない。 昔と比べて治る病気になったとされても、 ガンと言われて、驚きショックを受けない筈がない。 私ももし急にガンと言われたら。 まずは、いつまで生きられるかな、 そう思うだろう。 なった事のある人にしか分からない痛みを、 恐怖を 苦しみを。 私は正しく理解してあげられるだろうか。 水野 航のカルテを、私は静かに閉じた。
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