7/9
31人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「ただいまー。」 今日も22時過ぎにタケちゃんは帰ってきた。 「おかえり。ご飯、丁度出来てるよ。」 私はキッチンへ行って、料理を温め直した。 ダイニングテーブルに料理をセットすると、 彼は「腹減ったー」とドカッとイスに座り、 いただきますを言ったかと思うとガツガツ食べ始めた。 「あのさ、うちらの結婚式にも来てくれた親友の田川さんて覚えてる?」 私も目の前に座って、一緒に夕食を摂り始めた。 「んー、どんな子だっけ?」 「目鼻立ちがハッキリした顔で元気のいい感じの子。覚えてないかなぁ。」 「何となくいたような、気もするな。」 「この間会った時、赤ちゃんにも久々に会ったんだけど やっぱり大きくなってたよ。4か月って言ってたけど、子供って成長早いよねー。」 「んー。」 あまり興味なさげといわんばかり、 タケちゃんは携帯を料理の横に置き、画面を見ながら相槌をうつ。 「タケちゃんはさ、周りにそういう子、いないの?」 「俺の周りは結婚早かった奴多いからね。もう5・6歳くらいなんじゃん? 職場も年上多いしな。小学生以上の子供いるうち多いよ。」 「そうなんだ。」 「うわ、つーかさ、今度の代表戦のチケット、もうオークションに出てるわ。」 タケちゃんはサッカー狂だ。 チケットの転売サイトでも見ていたのか、携帯を見て急に唸りだした。 「事前予約の抽選でもダメで、一般販売でもダメだったのに。 こうやって儲けようとする奴いるよな。俺に譲ってくれっちゅうねん。」 「…仕方ないよ。」 「大体さ、こういう事する奴って純粋なサッカーファンじゃないんだよな。」 彼はそうブツブツ言いながら、 残っていた料理をガツガツと食べ終えた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!