メッチャ古~い石板

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 5月――ゴールデンウィーク明けの、とある夕方……。  東京の北部にある、東都大学付属の専門施設に4人教授が集まっていた。  場所は、最奥に位置する研究室だった。  が、建物自体がそうとう古いため、あちこちにシミやヒビ割れがあるという状態の、十帖ほどの部屋だった。   その4人の教授は、共に考古学者で……  コーヒーを飲みながら……  タバコを吸いながら……  謎の大きな石板を前にして、探求をつづけていた。    ――いったい何と書いてあるのか?――  それを彼らは、大学からの『秘密』依頼で調べているのだった。  その石板とは――  1週間ほど前に、埼玉県の光淋寺(こうりんじ)という古寺の改修工事中に 発見された物だった。  畳1帖ほどの大きさで、厚さは30センチ程度、やや灰色の遺物だった。  しかし、その部屋とは妙にマッチしていた。  彼らのデスクには、それぞれのノートパソコンと、山のような資料があった。  が、彼らは、ほとんど諦あきらめていた。  その石板一面に、何やら意味不明な文章らしきものが、ビッシリ書かれてあった。  中川は、コーヒーを一口飲むと、 「最初の文字は 『Joy』――つまり「ジョイ」と読んでいいと思うんだ」  山野は、次のタバコに火をつけてから、 「読めるのはそれだけなんだよな……。まったく何なんだ? 何処かの言語には違いないだろうが……」  片桐も、次のタバコを手にして、 「とにかく、そうとう前の物であることは、確かだよな……」  山野は、コーヒーに手をやりながら、 「例えば100年……」  全員、ドッと爆笑した。  山野は、コーヒーを一口飲んでから、 「おっとご免、間違えた。100万年とか……」  すると中川が真顔になり、 「まぁ……それくらいは、アルかもな……」  上田は、自分の資料を見詰めて、 「100万年前か……。色々な資料やデータを使っても、それじゃお手上げだよ……」  中川が「だよな……」と言うと、全員、溜め息をもらした。
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