前日譚1

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 東ピクトラ王国の火属性使い、ケールは先日まで帝国を名乗った勢力の遠征に高額の報酬それも前払いを目当てに参加した事を今尚後悔している。  『クーデターぁ?』  所詮名の知られた傭兵に過ぎないケールは、超大国の中央に詳しい訳では無い。  帝国の第一皇子が皇帝を監禁し、東側の都市ロジオの魔法学校に居た妹ミラジオネを謀殺しようと兵を向けたが将軍バレオに阻まれ、今は弟に攻めかかっているらしい。  『本当にここ数日の話なのか?』  ケールは将軍カイルの残党など、一千を率いてサトラダ国境近くに居る。  『主君が討たれた谷の近くに駐屯するのは辛かろう。』  と、ケールの善意で預かった兵を北上させたが、判断を誤った。  『レシル側の兵はバレオ将軍と籠城中のロジオ救援らしいが、俺等はあの次男坊の護衛だそうな。』  ケールは東ピクトラ国王が好きでは無い。  それでも次男坊ことレヌテントがその兄よりマシであるとは思いつつ、亡命した妹の方が年齢的に将来有望だったと残念がっている。  (まあバレオ将軍が東に付いたのだから仕方無い。)  帝国の遠征でケールを雇った将軍カイルは、バレオに付けと言っていた。そのバレオがレヌテントに味方したのだから、仕方無い。
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