後日談2

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 エルドはというと弟子のマーレと共に猪型モンスターの討伐依頼を受け、丁度目の前でマーレが一体一体仕留めるのを見ている。  『だいぶ上手いぞー。』  土属性と水属性の同時展開による粘土魔法のムチに加え、先端に取り付けた剣に硬化魔法を掛けて伸縮する鈍器として扱わせる。  『中々首に一撃とは行きませんね。』  『そういう時はこう。』  マーレの攻撃を避けようとする猪型の前方に土壁が展開し、直後首に剣が叩き付けられ倒される。  そんなに早くは土壁を出せませんよ、と弟子に言われても慣ればかりは自分でやるしかない。  『土壁は守りに加え何より視界を塞ぐ。』  『足を止めた隙を狙うべし、ですね。』  マーレにはエルドが余り使わない土魔法の応用も多用できる魔力量がある。  『煙幕でも良いですよね。』  『俺が風属性と土属性の同時発動で遠隔魔法使うと魔力消費が多くてちょっとね。』  マーレが手元で風の砲弾に砂塵を混ぜる要領で煙幕弾を展開し、発射すると猪型の周囲が砂煙に包まれる。  そして土属性探知で標的の位置を補足し、土の槍を投げ付けて仕留めようとした。  『あ、外れた。』  『自分の視界まで塞ぐと、今度は土属性探知の精度が必要になるよねぇ。』  土属性探知魔法がエルド並に正確にならなければ使いにくい方法だとマーレは気付き、中々上手く行かないと今後の課題とした。  幸いにもエルドは伯爵の地位に居ながら弟子と依頼を受ける日を設ける余裕がある。
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