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エルドは齢42になっている。最初の子供三人が独身生活を楽しんでいる為か、幸いにも孫より歳下の子を持たずに済んでいる。
しかしながら子が少なくて困っている者も王国内には多く、その筆頭格が国王アストラハときている。そこに丁度、十数年ぶりに娘が生まれた。
『…。』
『疑わないでくださいよ。』
賀詞どころか本当にお前の子なのかと言わんばかりの視線を向ける叔父に、国王は苦笑するしかない。
『流石に失礼よ。』
ぴしゃりと横からミラジオネが叱り、祝いの言葉をサラリと述べる。エルドもそれに習うものの、一人目と二人目の間に一世代挟めそうな年数が開く事に驚いている。
それこそ自分などミラジオネが三人目を欲しいと言って二年の間、妻達全員が平等に子を増やしてしまった。
『普通というか俺の家の場合だが、子が出来ぬ様に薬塗ったり飲んだりしなかったら一撃だと思うんだけど…。』
兄セルドも同じだったらしく、エルドにゆめゆめ屋敷の部屋埋めるべからずと忠告した事があった。
『良い所の家はそうも行かないの。』
既に跡継ぎが居るなら良い方よとミラジオネは事情を理解している。国王に二人子が居て、従妹ティサリエも未婚ながらまだ若い。
しかしながらアストラハは自分の力不足を鑑みて、目の前にいる叔父に頼んでおかねばならない。
『王家絶えれば公爵家が継ぎます。』
『ふむ。』
しかしスラニアの所も子沢山とは行かず、有事には埋め合わせが必要となる。
『その際、未だ王族であるクメシエナ叔母上の子女三名が最も近い縁戚なのです。』
『レサエナは冒険者やってるけど。』
そうそれですよとアストラハは食い付く。
『ティサリエまで冒険者ギルドに登録して
モンスターの返り血を落とさぬまま王宮に戻ってくる始末。』
『美人だから許されるよ。』
その内にギルドで相手でも見つけるか、一人で自由に暮らすか勝手にするだろう。エルドはなるべく王族のゴタゴタからは距離を取りたい。
しかしクメシエナというのがティサリエに影響を及ぼしている事が発覚した。
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