後日談3

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 三人目の子を産む為に炎帝を辞したセトナは、幼い子供達の相手を交代でしつつ今後の事を考えている。  『メストレは火使いとして悪く無い。』  まだ若いからミラジオネには負けるかな?とギルドに入隊していない第四夫人との比較をしつつ後継者の成長にも期待している。  では帝で最年長のタットに二十年近く前に交代した風帝に戻るべきか。  『俺はもう歳だ。』  と本人は言っているものの、後継者として勝負を挑む程の馬鹿は風属性A級隊員の中には居ない。  (余生は唯のA級隊員として過ごすか。)  気付けば齢四十になっている。長男は二十になり、そろそろセトナも婆の世代ながら目の前では他の妻達と合わせて六人の子が這ったり立ったりしている。  エルドが名前付けに苦慮し、エルドの老父母はセルドの子供と合わせて孫の数を計算し、剣を使う仕事は妻子を欲するのだなと呆れていた。  『16人ですか…。』  ギルドマスターは旧友のエルドが一気に子の数を増やした事に驚いている。それもトリクの様に相手側の実家で世話するので無く、全てにエルドが責任を持つらしい。  『あまり言いたく無いが、コレは諸侯から引く手数多ですよ。』  セトナが見せびらかしにレギオスの執務室へ来た際に婚約といった形での養子も遠回しに提案したが、あげないもん、と彼女が頬ずりしたのだから仕方無い。  セトナが炎帝を辞した為に彼女の収入は減少したが、それ以前に働き始めた歳上の子供達が幾ばくか割いて寄越しているので伯爵家全体としては増えている。  『君達が自分で使いなさいよ。』  齢二十なら貯めるか好きな相手に貢ぐか珍しい毒草買うとか使い道は幾らでもあるでしょう、と言ったものの父上とて伯父上の稼ぎで魔法学校に通ったでしょうと言われては困ってしまう。  結局エルドは子供達が寄越す分を貰った上で貯めておき、クメシエナが前々から提案していた増収策を実行に移した。
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