後日談3

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 エルドはギルドの食堂で雷帝クローネをつかまえ、詫びる羽目になっている。  『うちのクメシエナが勝手な事を。』  『息子が決めた事だから仕方無いわ。』  義母上、などと突然三人の魔女に言われてはクローネも困ってしまった。前々から先王弟の娘ティサリエ姫とオーレの交際は知っていたが、他の二人をティサリエが夫の側室にと選んでしまったらしい。  それが事もあろうにエルドの領内に家を貰い、既に四人で住んでいる。  『エルドはクメシエナには弱いのねぇ。』  『あれが一番弟子なものでして。』  相変わらずエルドは義姉弟の契を結んだクローネにデレデレしている。クローネにしてみれば齢五十で引退しようかと考えている頃なのに、この残念な義弟は頭を撫でられて喜んでいる。  『貴方の所もケネロルは若いのだから、ちゃんと寄り添って上げるのよ。』  この男は困ったものだ。自分の長女と比べて二歳しか上回らない元敵将と愛し合い、援助して武功を上げさせ子を作り相手のお家再興に手を貸している。  (家督を譲った後はケネロルの所に身を寄せるつもりなのかしら。)  そもそもあそこは領地を誰に継がせるのやら、とクローネは他人事を考えている。子供の内、歳上の三人はギルドで日々依頼を受けて上場の滑り出しをしている。  長男など何れの属性でも帝を狙えそうな傑物だが、逆にどの属性を主とするかで迷っている。  (雷帝にでもなってもらおうか。)  初手風帝狙いで駆け上がり齢十六で風帝になった母親のセトナも極端だったが、どの属性にするか絞るのも迷うとは末恐ろしい。  すると次男が、と思ったが万が一に家督争いが起こった際に中立を保つ為にクローネは思考を止めた。
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