前日譚1

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 西側についた将軍ケベロナは、それを理解した上で新たな主君に仕える事にした。  『必ずや帝国を復活させ、東西の敵を討って御覧に入れましょう。』  無理だと分かっていても、上の喜びそうな事は言っておく。  実際には東側に随分と人材が流れ、西側の小国は相変わらず敵頼りの結束を何とか保ち、停戦中にも工作を仕掛けてきている。  『西を崩すべし。』  という声が西ピクトラ王国では大きい。しかしケベロナは東ピクトラを消すべしと考えているが、緩衝国として見逃す様な意見が出始めている。  そんな事を許せば帝国など復活しない。では何からの盾が東ピクトラなのか。  『レシル王国。』  将軍ケベロナは魔法に長けた大国こそ脅威と考えている。  『サトラダ王国。』  大臣ベルノは国王アンタルシエ個人の統率力を脅威と見ている。  この時点で二人の考えは方角こそ揃っていたが、僅かにズレが生じていた。
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