【09】異色バディ誕生

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 少し考えていた様子のアザミであったが、煙とともに言葉を吐き出した。 「しかし、そのバイト君は素人(しろうと)だ。このことを教えたら警戒しちまって、襲ったヤツが『何か思い出したのか?』と再び狙い始めたら危険だな。俺が追っているA市の特殊詐欺グループとは関係ないかも知れねぇが、だからといって放っておくわけにも……」 「ええ、一度は確実に命を狙われているのですからね。さすがにボディガードは目立ちますが、しばらく陰から見守ってみるというのはいかがでしょうか?」 「そうだな……。あ、陰から見守らなくても大丈夫だぞ」 「え?どういうことですか?」 「俺もだが、特にヒドウは美智(みち)に面が割れてる。今は任務のないアイツを本当の理由を伏せて近づかせ、直接護衛させよう」  と、煙草を灰皿でもみ消し、ケータイを取り出したアザミにカギヤが質問した。 「僕はヒドウ君と組んだほうがよろしいでしょうか?」 「いや、今回ヒドウは別の奴と組ませるから、カギヤは今のうちに旅行でも行って来い。片岡のオヤジにも、優羽(ゆうは)に新婚休暇をとらせてやれって俺から話しつけといてやるからさ」  上官の(いき)なはからいに感激したカギヤが、姿勢を正して頭を下げた。 「旅行まで許可していただけるなんて、ありがとうございます!でも、ヒドウ君に僕以外のアザミ班の誰かを組ませるとなると、モグリ先生は病院が忙しいし……まさか!」
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