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「ですから僕の考えとしては、狙われたのはトクシンヤではなく美智君個人だと思います」
「そうか……また狙ってくると思うか?」
「……すでに一度実行している奴ですから、また狙う気はします。でも今後、彼が狙われないほうが厄介かも知れませんよ?」
「狙われないほうが厄介?どういう意味だよ?」
と、アザミが聞き返す。
「もし美智君へのストーカー行為でやったのだとしたら、犯人はいきなり命に関わるような大きな危険は避けそうです。死亡したり、病院送りになったら会えなくなりますからね」
「自分は姿を隠して、少しずつダメージ与えるってのも胸クソ悪ぃけどな。で?」
「つまり今回の場合、彼が知らないうちに何かに関わってしまって命を狙われたという線が濃厚かも知れません。しかし今後狙われなくなったとしたら『アイツは命を狙われた理由に気付いていなかった。だったら口を封じなくても大丈夫だろう』と判断出来るくらい身近な場所に、殺人をためらわない犯人が潜んでいる可能性があるのではと思ったので」
「なるほど、だから『狙われないほうが厄介』ってわけか。さすがカギヤだぜ」
「いえ、それほどでも」
と、アザミに感心されたカギヤが、おなじみの困ったような笑顔になる。
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