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俺が社会保険事務所に勤めていたのは事実だ。厚生年金の調査課にいた。
南区の精密工場で働く前に勤めていたのだ。
『勤めていた』と言っても、それは”臨時職員”という、言わば”アルバイト”である。
そこで脳腫瘍になった。
厚生年金年金保険には適用条件があり、その適用に該当する事務所(会社)は一律に加入しなければならない。国民年金と違い、厚生年金は追徴金などは発生しないが、その適用により、事業主は雇用者から厚生年金を折半で徴収し、健康保険に加入させる義務がある。この適用の可否、状況を調査をするのだ。
稀に、徴収を逃れる為、適用条件に該当しているが、『あの社員らはもうすぐ辞めるから』と言い張る雇用主がいる。
『適用逃れ』である。
その下で働く労働者も口裏を合わせ、「もうすぐ辞めるから…」と嘯き、のらりくらりと適用を免れようとする事務所がある。
厚生年金と健康保険代を免れる為である。
厚生年金には罰則規定がないので、代わりに労働基準法で『退職の意思を示した場合、その雇用者は速やかに退職させなければならない』と定められている。
つまり、『辞める』と言っている村木をいつまでも雇用する事は出来ない。
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