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感情を失った青年
告白
それは、好きな人に好きと伝えること。
今俺は…まさにその状態だ。
「高坂君、好きです!付き合ってください!」
高坂 薫(たかさか かおる)、大学一年。
同じサークルの女子に告白されました。
黒髪のロングヘアー、スレンダーで綺麗な体、女子が憧れる自然なぱっちり二重まぶたの彼女。
男なら皆、こういう子に告白されたら即オッケーするだろう。でも俺は…彼女に惹かれる要素を見つけることが出来なかった。
「…ありがとう。でも、ごめん。俺は…君と付き合うことは出来ない。」
そう言うと、彼女はその場で泣き崩れた。こういう時、俺はどうしたらいいのか分からなくなる。彼女は涙を流しながらも、口を開く。
「…大丈夫…です。私の恋が実らないのは分かってたんで……。やっぱり、他に好きな人がいるんですよね。」
あぁ…そう来たか。まぁ、大体そう思われるよな。
「いないよ。ただ…今は誰とも付き合う気はなくて。」
「そ…そうなんですね…。すみません。ありがとうございました。」
そう言って彼女は頭を下げて去って行った。
「好きなんて、この世からなくなればいいのに。」
そんな最低な思いが頭に浮かび、思わず口にしてしまう。
本当に最低だな、もう帰ろう。
そう思って荷物をとりに大学の中に入ろうとした時、突然声をかけられた。
「あははっ!見~ちゃった!君が最低な発言してるところ!」
振り返ると、小柄でやけに無邪気に笑う男が立っていた。
髪も少し伸びていて邪魔なのか、後ろで縛っていた。
「…何?誰、君?」
「俺?俺は椎名 千秋(しいな ちあき)。仲良くしてくれたら嬉しいなっ!」
そう言って椎名はニコッと微笑む。
これが、俺と椎名の出会いだった。
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