第七章 静寂な時間

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「………って、いうか、社長、重村さんとそういう関係だったんスか?」 「……ったく。お前らが東のとこによく訪ねに来てた頃は結構カワイイ後輩だったのにさ…。警察に入った途端、根掘り葉掘りと、いやらしい性格になっちゃったもンだねー」  徹は横目で二人をちらりと見て厭味を言った。 「またぁー!!東先輩と似たようなこと言わないでくださいよ!」  今朝もさんざん厭味を聞いてきたんスから。 「………で?犯人は捕まったの」  徹は腕組みをする。二人の返答次第では“税金ドロボー”だと散々言ってやるつもりだった。 「くすのき幼稚園の倉田園長から危惧が出てはいたんですが、案の定、重村さんの前任で園をクビになった男の仕業でした」 「……ったく!メーワクな話だな!オレも園長にいろいろ言ってやらないとな…」  徹は呆れながらも、犯人逮捕の報にホッとしていた。 「捕まってよかった。賢悟は一応今朝早く意識が戻ったみたい。オレはちょっとタイミング悪く寝ちゃってて気付かなかったから」 「そうですか…。まぁ、容疑者をスピード逮捕できたので、重村さんの体調をみてから、またいろいろ伺うと思います…」  二人はそういうと、そそくさと出ていった。何故なら、徹の全身から“さっさと帰れオーラ”がさりげなく出ていたからにほかならなかったからだった。
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