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動揺して固まる私をよそに。
佐々木先生はクラス全員に『転校生を宜しくな』と伝え終えると。
さっきまでの事は何もなかったかのように七瀬さんの席に着くように促(うなが)してきた。
その間、私と先生の様子をジッと見ていたクラスメート達はまた、キャアアアと声を荒げて叫んでいた。
どうやら……。
佐々木先生はホストのような見た目と色気ある雰囲気を纏(まと)っているせいか、かなり人気があるようだ……。
モテる佐々木先生にはなるべく近付かないでおこう……。
関わると面倒になる予感がする……。
本能で危機感を感じ取った私はポーカーフェイスを装いながら小さく溜め息をついた。
ヤバイ…。
まだ自己紹介が終わったばかりなのに…。
なんだか…つ、疲れる……。
4人兄弟の中で、末っ子で産まれた私は。
小さい頃から兄達の後を追いかけて過ごしたせいか……女子より男子とつるむ方が多くて。
友人も男が多かった。
だから自宅から近いこの女子高より少し離れた共学の高校へと進学をしたのだが…。
入学して1週間。
登校中に交通事故に遭い、入院が思った以上に長引いて…。
私の事を心配した両親と兄達が家から徒歩で歩いていける、こちらの女子高へと転校手続きを申請してしまったため。
今に至るのだった…(泣)
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