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「七瀬さん、目、悪いの…?」
上原さんの凛々しい瞳にジッと見つめられて…。
思わずゴクンと唾を飲み込んだ。
「…すごいキレイな瞳してるから…。髪で隠れて、もったいないな、って…」
そう言うと。
上原さんの手が私の前髪に触れた。
「ゃっ…!?//////」
「七瀬さんの顔、真っ赤だよ?大丈夫…?」
「だ、だだ大丈夫だから!!//////」
思わず体が強張って萎縮して、教科書へと慌てて視線を向けた。
上原さんが触れた場所を意識してしまって顔を上げられない。
ドクドクッと早鳴る鼓動が聞こえてしまいそうで。
そんな自分の状態にパニックになる。
上原さんに気付かれないよう、授業に集中しているフリをしながら、チラリと様子を見る。
……上原さん、ズルイ……。
私は『キレイ』なんて、言われた事ない。
昔から地味でおとなしくて、真面目で。
存在感ない、そんな私に。
『キレイ』とか『もったいない』とか。
そんな価値はない。
ないから……。
褒められると、嬉しさと恥ずかしさで、体が熱帯びて。
どんどん熱さが身体中に上昇してくる。
上原さんはあくまで、私にとって『BL専用の妄想男のコ』
三次元の、しかも相手は『女の子』なのにドキドキするなんて……。
………私。
本当にどーしちゃったの……?
いつまでも止まらない胸の鼓動に。
……上原さんにはこれ以上、近付いてはいけない。
私は自分自身に言い聞かせるように。
何度も何度も呪文のように繰り返した。
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