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これはいる。
私は昔のアルバムのホコリを払いながらそう思った。
これは置いていく。
今度は、高校生のとき使っていた教科書を見て思った。
私の周りには二日かけて、ようやく片付け終わった段ボールが重なって置いてある。
引っ越すのがこんなに大変だとは思わなかった。半日くらいあれば大丈夫だと思っていた。改めて時間がかかると教えてくれたお母さんに感謝した。
明日私は引っ越す、それも一人で...。一人暮らしを始めるつもりだ。合格した大学が家から遠いため、近くのアパートに私だけ引っ越すことになった。お母さんと離れるのは辛い。だけど小学生じゃないんだから、そんな文句は言ってられない。
私はガムテープで段ボールの口を塞いだ。
「愛華(アイカ)!ちょっと手伝ってくれる?」下の方からお母さんの声が聞こえた。
「わかった!今行く!」そう言いながら立ち上がった。その時、運悪く近くに積み上げてあった教科書が崩れ落ちた。
「ちょっとだけ待ってて!」大きな声でお母さんに伝え、教科書を一から積み上げる。
その時、あるものが目に入った。
『日記』そう書かれたノートが教科書の中に交じっていた。思わず手に取ってページをめくる。だけど、日記はわずか二ページ書かれているだけで、後のページは絵などが中心に描かれていた。自分の飽きぽっさに思わず笑みがこぼれた。
最後の方までページをめくっていると、最後の方に数ページ日記が書かれていた。でも、それは日記ではなく夢日記のようなもので、その日見た夢が丁寧に書かれていた。
『ユーリーと会いました』その言葉で私の記憶がよみがえった。
確か小学四年生の時...
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