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「ねえ、静流〜。さっきの依頼人、多分私と静流が姉弟だと思ってるよね?」
「言うなよ。ちょっと気にしてたんだから」
そう、桃はオレの双子の妹だ。桃の方が身長が高いからか、よく弟だと間違われる。おかしいな。桃もオレと同じ生活をしてるはずなのに。
「まあ、静流も特別小さいわけじゃないし、そのうち成長期が来るって」
成長期なぁ……来るといいけど。
「そんなことより、早く夕飯にしようよ」
「そうだな。母さんと雅さん呼んでくる」
そう言ってオレは2階に上がった。グラツィアの2階はオレたちの家になっている。うちは父さんがいないけど、母さんと桃、オレ、そして幼なじみでお兄ちゃん的存在である雅さんが住んでいる。
コンコンコン
「母さん!夕飯食べよう」
「わかった、すぐに下りる」
「んー」
コンコンコン
「雅さん!夕飯の時間!」
「OK、後から行くから、先に準備お願い」
「はーい」
1階に降りると桃が夕飯を並べていた。
「今日は依頼人の人以外お客さん来なかったからもう夕飯、出来てるよ」
「ありがとう。母さんも雅さんもすぐ来るって」
「オッケー」
タタタタタタタタタタタタ
ガチャ
「あら、美味しそう、今日は桃のハンバーグなのね」
「桃ちゃん、今日もありがとうね」
「どうしたしまして。よし、全員揃ったし早く食べよう」
「「「「いただきます!」」」」
うちのいつもの風景。どこにでもいるような普通の家族。(いや、雅さんは家族じゃないけど、ほとんど家族みたいなものだし)
これから明るくて、不思議な力をもつ桃の兄であるオレを主人公としたオレ達和倉家のお話がはじまります。
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