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「ディムさんはリリアナちゃんを人並みの幸せをって言ってるんです。だったら、普通に喋るようにしてあげないと。それに、女の子なんですよ。ちゃんとした服を着させてあげたいじゃないですか! あと、可愛いリボンとか、これからもっと女の子らしくなるんですよ。そういうところも教えてあげないと!」
グサっと来た!
おもいっきり不意打ちで、核を突き刺された気分だ。
ああ! 判っていたよ。服が服らしくないってことはな。
切ったマントに首を通す穴を作って被せて、横は紐を通す穴を開けてベルトのように結んだだけのやつだよ!
《よし! お前の言う事は判った。それほどに言ったんだ。覚悟はあるんだよな。》
「はい! リリアナちゃんのお母さんになります!」
《いや! そこは、お姉ちゃんだろ!!》
「…判りました。お姉ちゃんでお願いします。」
いったいこの女を突き動かすものは、なんなんだ…
《じゃあ、フルララ以外を洞窟まで連れていけばいいのか? いや、それだと危ないな。安全な麓近くまで付いていったほうがいいのか…う~ん面倒だな。》
「なら、私も残って良いですか?」
手を上げて意思表示を示したのはフルラージュといったもう一人の女性だった。
《何故だ?》
「私もその子の教育係に立候補します。フルララは気持ちだけで、裁縫とか料理とかの技術がありません。このテーブルとか椅子はディムさんの持ち物ですよね?」
《ん? そうだが?》
「でも、リリアナちゃんの服は無いんですよね?」
《ああ、子供用の服は持ってないんだ。だから、持っていたマントを代用した。」
「私なら、生地があれば服を作れます。それに、料理も手伝えます。」
《なるほどな。だけど、お前がそこまでする理由はなんだ? フルララのそれとは違うのだろ? 対価はなんだ。》
「さすがですね。私の魔術を見て頂けませんか?」
《あの、ウィンドショットか…判った。教えてやろう。》
「あっ! ありがとうございます。」
テーブルに頭を付けるほどのお辞儀をするフルラージュに俺は、「こちらこそ頼む。」と言葉をそえた。
「なら、僕も残ります。僕は彼女と一緒に居たいのです。」
「俺は、姉から託されている。フルララの叔父として一緒に残らせてくれないか。」
あ…あたまが痛い…
なに言ってるんだこいつらは?
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