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今は観光用の馬車に乗って、ダンジョン5層までアンジェちゃん達を連れて行けるようになりましたが、冒険者や観光客の目がある為、魔術の練習を思いっきりする事が出来なかったそうです。
街の外の森の中などで練習していたそうですが、炎魔術は使うことが出来ないと。
山火事になりますからね…
私達となら6層の奥まで行く事が出来ます。ダンジョンを形作っている鉱石が全ての魔力を吸収するので、岩壁に向かって火の魔術の練習が出来ます。
「リリアナもね! いっぱいれんしゅうしたよ。」
「ティエもれんしゅうしてるぅ。」
風魔術に関しては沢山練習したそうで、みんなで見せ合う約束をしました。
《ロチアが来たぞ。》
お菓子の昼食に夢中で、ロチアさんが来ることを忘れていました。
チリンチリン~♪
「こんにちわ~」
呼び鈴を鳴らしたロチアさんの声が玄関先から微かに聞こえてきました。
「皆さんはこのままティータイムを続けていてください。」
私は玄関の扉を開けてロチアさんを招き入れると、
「来客中のようですが、大丈夫ですか?」
と、ロフェアさんが申し訳なさそうに訊ねます。
リビングからリリアナちゃん達の声が聞こえていたのです。
「はい。メルヴェール家のご家族なので大丈夫です。」
「そうでしたか。ではここで、屋敷の状態で気になった所などはありますか?」
私は何も確認していなかったので、どう答えたら良いか悩みました。
《なにも問題は無かったぞ。埃も溜まっていないし、綺麗にして貰っていたようだ。》
ディムさんが、どこからか見ているみたいです。
「いえ、掃除も行き届いていて、なにも気になるような所はありませんでした。」
「そうですか。それは良かったです。では私はこれで、失礼します。」
長居は失礼になる。という感じで頭を下げたロチアさん。
《ロチアもリビングに通してくれるか。次元倉庫の事を知っているから問題ないだろう。》
どういう意図なのかは判りませんが、私はディムさんの指示通り、ロチアさんを引き止めました。
「今、旅行中に買ったお菓子を頂いているのですが、ロチアさんも如何ですか?」
「えっ!? 良いのですか?」
「はい。でもこれは、リリアナちゃんの次元倉庫を知っているロチアさんなので、お誘い出来る話なのです。もちろん、メルヴェール家の方達もリリアナちゃんの次元倉庫の事を知っています。」
消費期限のあるお菓子はもちろん、出来立てがテーブルに並んでいるのは、普通ではありえません。
「あっ! なるほど。ありがとうございます。」
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