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「そっ…そうですね…私は囚われていたのでしょうか…」
「いや、フルララは世界の為を思ってここまで来たんだ。間違いじゃない。」
ガトラがフルララの言葉を否定する。
あぁ…危険な旅を言い出した本人だしな。
それで、この結論になれば当然か。
《そうだとも。判らない事を知るために、行動するのは間違いじゃない。それに、俺とリリアナと出会えた。この結果があれば十分だろ。お前の行動は正しい。》
「そうですね。この場所でディムさんとリリアナちゃんに出会う事が、星詠みの啓示だったかもしれませんね。」
《そういうことだ。じゃあ、あとは帰るだけだな。お前達が越えてきた洞窟まで連れていけばいいか。それと、死なれては困るからな。『エリクトラ』を5本ほどやる。リリアナが人族で暮らすときに頼ってもいいんだろ?》
「はい。もちろん、この恩は必ずお返しします。ですが…」
不安顔なフルララが、寝ているリリアナを見つめ、意を決したような言葉で俺に衝撃的な言葉を伝える。
「今のままだったら、リリアナちゃんは人族で暮らせません!」
《はっ!? なんでだ!》
「人族は念話を使いません!」
《はっ? ………あぁあああー!》
うかつだった。俺はリリアナと普通に会話をしていたから気にしていなかったが、そういや、リリアナの泣き声以外は口を閉じたままだ。
くそ! 俺としたことが。
知識は教えられるが、言葉を発声させるにはどうしたらいいんだ?
「なので、私に提案があります。」
俺が後悔の念を浮かべていると、フルララが俺をジッと見つめていた。
《なんだ?》
「私がリリアナちゃんが喋れるようになるまで、ここに残ります。」
「フルララ、何を言っている。」
「そうよ。喋れるようになるかも判らないのよ。あなた一人でどうこう出来る訳ないでしょ。」
「フルララさん、気持ちは判らないでもないですが、喋れない子供もいることですし、そういう方向で収めてみるのはどうですか?」
3人の仲間が言う事は正論だな。
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