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《ああ、スライムの体って魔力だけで出来ているからな。害はないはずだ。実際にリリアナの状態を調べたが、問題なかったしな。》
「あれ? フルララは知らなかったの? スライムって食べれるのよ。」
ソファで縫い作業を続けているフルラージュさんが、さも当然の事だとサラッと話す。
「まあ、田舎の非常食みたいな物だからね。だけど、リリアナちゃんみたいに直接食べるのはダメよ。普通のスライムは危機を感じて、苦い味覚になる魔素を出しますからね。」
そうなんだ…スライムって食べてもいいんだ…
《フルララ…食べたそうだな。だがやらんぞ。これはリリアナだけの特権だ。》
「いえ! そんなことは思っていませんから。」
《…そうか、俺の勘違いだったか。》
そりゃ、ちょっとは食べてみたいって思いましたけど、それは味がどうなのかな~って思っただけで、少し舐める程度だけで……
いえ! それは人としてどうなのでしょうか。
あ…でも、田舎では食べるって言うし…
「あっ…あの…リリアナちゃんがどんな風に感じていたのか、ちょっと興味がありまして…味見とか…」
《なんだ、やっぱり気になってたようだな。あぁ~そうだな、俺もリリアナにどんな味なのか気になって聞いてみたが、美味しいとしか言わないから、特別にお前が味を確かめてくれても良いぞ。》
私は自分でも判るほどの笑みを浮かべてしまっていた。
《じゃあ、俺の角のようなところを食べてみろ。そこなら食べやすいだろ。》
私は、「はい。」と答えて、ゆっくりと立ち上がり、角の先を少し食べてみました。
「あっ…葡萄の味がします。すっごい甘い葡萄の味です。」
《ほう、葡萄か。そういや、この地には無かったな。》
「フルララさんってほんと、羨ましい性格してますよね。」
フルラージュさんが呆れた声というか、諦めた声で私に笑みを見せていた。
「え? そうですか?」
「それにしても、葡萄かぁ~そんな味がするなら、普通のスライムは絶滅してたかもね。私はもう、ワインの方が好みだけど…まだ当分、飲めそうにないか。」
《まあ…ワインならあるぞ。まあ、ワイン以外の酒もそれなりにある。そうだな。服が完成したら、1本渡そう。》
「えっ! 痛!」
驚いたフルラージュさんが針を指に刺してしまったようです。
「あっ、ありがとうございます。」
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