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全4/4エピソード・完結
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 平成の終わりを迎えるいよいよという年になって。すっかりいい年になったというのに酒の量は変わらないしタバコは減りゃしない。  いいかげんそれがカッコいいなんて思わないけれど、アイツが吸っていた味はすっかり舌に馴染む。  天気がいいうちに、と母に墓掃除を頼まれる。  鴨志田までは遥かな距離。明日いきゃあいいか、なんてすねてみる。あなたがずうっと待っているわけないのに。風に消えてどこにでも舞っているのなら、意地悪しないで気を遣って現れてほしい、なんて思う。羞悪なものも私には甘美へのセレナーデ。何が善か悪か、腹の中で育み生み出す。  いつも駅の改札で「おはよう」なんて声をかけても新卒の駅員は無言のまま。ふれあいも許されないひどく無関心な世の中になったものね。いつから誰かが私を汚して塞いで、そうやって頭の中をひとりにさせないでよね、と愚痴る。  百あることばのうちひとつでいい。鼓動のように鳴らして。普遍のままに。あなたのありかを。もう争いもない。いさかいもない。ぬくもりもない。変わらず愛してくれてる。色んな顔して。  
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