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「待ちたまえ」久しぶりに大河内の声を聞いた。無線機からだ。「来生君に関しては、今後の重要人物となる可能性が高い。そんな彼を囮になどできない」
俺が重要人物? 意外な言葉だったが、実感がないわけではない。さっきも話に出たように、今のところ自分だけがボムを見つけることができる。共感覚というものが、急に誇らしく思えてきた。だが、そんなことを感じているときではない。
それに、みなとみらいを、そして沙羅を守れなければ意味がない――。
「みなとみらいの消滅を食い止められるなら、俺は囮になってもいいですよ」
体が震えているのを意識の外に押しやるように、強く言った。
「それはだめだ。だいたい、霧島君、昨夜言っていたことと矛盾するじゃないか」
大河内の声が響く。
「一平君が協力を了承してくれたことで、状況は変わっています」
しれっとした表情で言う雪乃。一平を見て軽くウインク。そして続ける。
「ボムを見つけ、倒さない限り、みなとみらいは消え去るんですよ。数万の人々も一緒に。今はできることは何でもやらなければ……。ボムを倒す可能性があることなら、何でもやらなきゃだめなんです」
「一平が重要人物であるのは自分もわかっている」ガイも口を開く。真剣な表情だ。「だから必ず守る。だが同時に、この都市を守るのも重要なことだ。どちらも守る。それが今、目指すべきことじゃないのか?」
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