12時間前

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 しばし沈黙――。重苦しい空気が流れる。  一平は、自分が言ってしまったことの重さを思い知る。何しろさっきの騒動から、まだ不安は拭えていないのだ。それなのに、更なる危険に飛び込むと宣言してしまった。ちょっと前までの自分なら信じられない行為だ。  「しかし……」  大河内の掠れたような声が聞こえてきた。だが、その後は何も言わない。  「大河内警視正は、これで一平君にもしものことがあったら、責任を問われることを心配しているんですね?」  「そんなことは……」と大河内が言葉を濁す。  そういうことなのか、と一平は思った。今後POE対策に活用できる可能性のある一平を失った場合、大失態となるのだろう。自分の命が大きく扱われているのを再度実感した。  「私たちが勝手にやることにしますので、心配しないでください。ね、一平君」  急に優しげな声を出し、一平の肩に手をまわしてくる雪乃に戸惑った。強いのに柔らかな体だなあ……と思い、慌てて気を引き締め直す。  「な、何でもいいです」  いい加減な応え方をしてしまった。  「君たちが外へ出る場合は、ガードする刑事を更に増やそう。だが、充分に気をつけてくれよ」  そう言ったのは島村だった。  その声を聞いて雪乃がにやりと笑った。  ガイが大きく頷いて、一平の肩を叩く。  萎えそうになる気持ちを無理矢理奮い立たせようとしたとき、沙羅の顔が思い浮かんできた。
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