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アメリカ合衆国――。
ハリウッドがエンターテイメントの都なら、ここ、シリコンバレーは科学技術の都である。時代を数十年先取りしたような近未来的ビルが建ち並び、企業や大学の研究施設、政府から委託を受けた団体等が様々な研究開発を進めている。
ガイ・メイヤースは高台に広がる施設群を眺めていた。
クリス、まだか?
焦燥感が強まってくる。
右の肩が痛んだ。奴にやられた傷だ。
自分も行くべきだった……。
今更ながら悔やむ。現在クリスとチェン、アランが奴を追っている。食い止めるために送られてきた者はガイを含めて9人だった。5人は死んだ。ロシアで2人、中国で3人。
食い止められないまま、こちらの人数が減っていった。ガイも怪我をしている。足手まといになるから、とここで偵察をすることになったのだ。
奴を倒すためには、3人でチームを組むのが最良と考えられた。
1人が所在を確認し、1人が急所を示すための照射をし、もう1人が即座に撃つ。そのために3人ずつ3チーム。9人が送り込まれたのだ。
しかし、ガイと組んでいた2人は最初のロシアで殺された。3チームに分かれて探索していたところ、最初に奴と遭遇したのがガイのチームだった。そして、やられた。
探し出すのが問題なのだ。見つけられさえすれば、照射も、銃撃も、訓練された自分たちなら必ず成し遂げられると思う。しかし、見つけた時にはすでに奴は臨戦態勢をとっており、こちらはどうしても後手に回ってしまう。
くそう……。奴に刺し貫かれた右肩が痛む。
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