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「ソルティア・カレヌディーノ公爵令嬢!貴女の行ったマリアンヌ・フォーリス男爵令嬢への行為は、とても公爵令嬢らしい行為とは思えない。その非道な行為は、見過ごすことはできぬ。よって、クレヴィット国王太子ファルト・メルビリアスの名において、ソルティア・カレヌディーノ公爵令嬢との婚約を破棄することを宣言する!!」
メルビリアス王国の王太子殿下である彼に呼び出され、何事かと思いながら急遽馳せ参じた彼の自室で、信じられないことが起こっていた。
目の前には、家と家の繋がりを深めるための婚約破棄を、取り決めた親のいないところで勝手に宣言するファルト王太子殿下。
その隣には、最近学院の中でも良い方面ではなく目立ってしまっているマリアンヌ男爵令嬢がおり、涙を浮かべてファルト王太子殿下を見つめていた。
桃色の髪の毛に、白い絹のような肌。潤んだ瞳と眉尻の下がった表情は、男性からしてみたらさぞ庇護浴をそそるものなのだろう。
「恐れ入ります、ファルト王太子殿下。発言をお許し頂けますでしょうか」
「ふん、なんだ、懺悔の言葉でも言うつもりか?」
王族の方の御前であるため、発言許可を頂いてから発言することとする。
いやに偉そうに、確かに実際偉くはあるのだが、勝ち誇ったような笑みで私を見るファルト王太子殿下は、私の言葉などまるで想定もしていない様子。
それも致し方ない、私ですら何が起こっているかどうか分からないのだから。
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