冤罪と婚約破棄を押し付けられたようです。

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「…畏れ多くも、私の婚約者はファルト王太子殿下だったのでしょうか?」 「は?何を言っているんだ、」 「大変申し訳ございません、私、婚約者がいるというのは父から聞き及んでいたのですけれども、どなたかまでは存じ上げず…。それがまさかファルト王太子殿下であったなどと、想像もしておりませんでしたから…」 「なっ…!?」 困惑の気持ちを隠さずに目を伏せる。 ファルト王太子殿下は私が嘘を言ったと思われたのだろう、顔を真っ赤にして私を睨みつけた。 「苦し紛れとはいえ、何を言っているのだそなたは!」 「本当に、存じ上げなかったこと、大変申し訳なく思っております」 腰から身体を折り曲げ、深々と礼をする。 そして顔を上げ、再度口を開く。 「私の婚約者がファルト王太子殿下であり、そしてファルト王太子殿下から婚約破棄のお話が出たということでありましたら、私、謹んで婚約破棄をお受けいたしますわ」 元々、ファルト王太子殿下を好いていたわけではない上に、結婚するとも思っていなかったのだ。 お父様が取り計らってくださった縁談がなくなってしまうことは申し訳ないけれども、相手方からの望みであれば仕方がないと仰って下さることでしょう。 尚も何か言おうとしていたファルト王太子殿下であったが、私が婚約破棄を受けたからか、それ以上発言しようとすることはしなかった。 その様子を見ていたマリアンヌ男爵令嬢が、王太子殿下の袖を引き、目を潤ませながら「ファルト様、騙されないでください」と訴える。 「ソルティア様は私のこと、虐めたんですよ?どうしてそんな簡単に赦しちゃうんですか??」 「あ、ああ、そうだな、」 思い出したように私をきっと睨みつけるファルト王太子殿下ではあるが、私はそれよりもマリアンヌ男爵令嬢の言葉が引っかかる。
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