1人が本棚に入れています
本棚に追加
或る戦いの記録
仲間が次々にいなくなっていく。
次は自分かもしれない。
この場所も、もう長くはもたないだろう。
不安と恐怖でどうにかなりそうだ。
まさか自分のいる場所が、こんなにも荒れ果ててしまうとは……
戦いに敗れた仲間は、自分が分かるだけでも99。
これだけ開けた場所だと、それまでいた仲間がいなくなっている事に嫌でも気付く。
そこにいたはずの仲間が次々に消えていく。
次が誰なのか……考えるだけでおかしくなりそうだ。
そしてまた『恐怖の時間』が始まる……
『何か』に強く押し付けられ、潰されないように耐え続ける時間。
だが耐えるだけでは済まない。
押し付けられながら、急にものすごい強さで引っ張られるのを必死に踏ん張らなければならないのだ。
ここで自分が100番目の犠牲者にならない為に、必死で耐え続けなければ……!
そして……
何時間経ったのだろう。
耐えた。
やった!
やったぞー!!
今日も耐え抜いた疲労感と、もう大丈夫だという安心感で急に全身の力が抜ける。
その時、足元がぐらついた。
「あっ……」
力が抜けたと同時に、耐え続けた身体が限界を迎えてしまった。
意識が薄れていく。
もう……だめだ……
するとどこからか、戦いに敗れていった仲間達の姿が見えてきた。
あぁ……迎えに来てくれたのか……
不思議だ。
あれほど生き残る事に必死だったはずなのに、今はなぜだかとても穏やかな気持ちで満たされている。
ありがとう……みんな……
笑みを浮かべた彼の姿は、風に流され見えなくなった。
そしてまた、人知れず毛は戦い抜け落ちてゆく……
最初のコメントを投稿しよう!